(過去ログ001)

タイトル:『はじめての失業・再就職』
著者:松下信武 発行所:日本経済新聞社 発行日;2000年6月12日 価格:税抜き1000円

はじめにの一部分を紹介します。

一九九七年五月五二歳の私は失業していました。失業にはさまざまな痛みを伴います。「もう自分はダメなのでは」という不安に押しつぶされそうになるものです。しかし、ものごとは前向きに考えてください。大切なのは、自分自身を冷静に見つめ直し、自分はどうしたいのか、そのためには何が欠けているかをきちんと考えること。そしてできることから行動を起こしていくことなのです。

プロローグに「他人事ではなくなった失業」とありました。9月の完全失業率が5.3%と最悪を記録したと報道されていましたが、まさに他人ごとではないことが現実味を帯びてきました。失業や転職などの不安を感じている人たちにとっては勇気づけられる本だと思います。また、文庫なので電車内で片手で持って読むことができます。
大見出しは以下の内容です。
1.失業するとはどういうことか
2.失業する前に
3.従業員を解雇する会社の言い分
4.失業してしまったら
5.再就職のために
(2001年11月4日)


タイトル:『団塊の逆襲』
著者・発行者:快団児  印刷・製本:(株)デジタルパブリッシングサービス 
発行日:2001年10月10日 価格:1400円
★ 目次
第1章 追いつめられている団塊
1.中高年の自殺者が急増している
2.高水準で推移している完全失業率
3.リストラ対策を打つと株価が上がる?
4.各種調査機関による雇用・経済面の実態
5.運用を間違えやすい実力主義
6.威張りたくなる本社
7.踊れないニューフィフティーズ
8.抑制されてきた団塊世代の賃金上昇率
9.団塊の世代は社会的貢献をしてきたか?
第2章 逆襲の始まり
1.政治家への逆襲
2.経営陣への逆襲
3.総務・人事部門への逆襲
4.自分への逆襲

まえがきの一部を紹介します。

 一九七六年、時の通産省官僚であった堺屋太一氏(元の経済企画庁長官)が著書『団塊の世代』(講談社発行)を発表し話題を呼んだ。そして、これを契機に「団塊」という言葉が日本国内に定着してきた。本棚から懐かしいその本を久しぶりにひもといてみた。その本は四話の構成からなっていた。そして、その四話とも、必死に戦う主人公が最後には、言いしれぬ挫折感を味わいながら、厳しい将来の到来を予感させるようなシーンになっていた。この話の最後の場面のことを長い間忘れていた。しかし、あらためて読み直してみると、社会・経済の仕組みが大きく変革しつつある今日、自分の来し方を振り返り将来への備えとしての心構えや覚悟を考えるときに、その場面が強烈に胸中を去来し、三年前頃より頭から離れなくなった。私の書棚にはその本とともに本に付いている帯が残っているが、そこには「多すぎる世代の悲劇は今や、現実となった!!」とあった。この小説のストーリーは、まさしく、二十数年後の今日を言い当てているようなところもあり、堺屋氏の洞察力には敬服するものがある。よし、それならば、これらの悲劇の主人公と違う生き方をするにはどのような知恵が求められるのだろうか、それらをまとめてみることによって、堺屋氏への投げかけに対しての返歌を作ってみよう、そして私と同じ団塊の世代にこれからどう生きるのか一つの提案をしてみようと大胆なことを考えたのが本書を書き始めた動機である。
 ご承知のように今、ビジネスマン、とりわけ団塊の世代のビジネスマンを取り巻く環境が構造的に変わってきており、彼らの仕事や生活面においてさまざまな影響を及ぼし、時には大きな歪みを生んでいる。中高年齢層の自殺やリストラなどによる家族崩壊が増えているとの新聞報道を目にする度にいたたまれなくなる。不況によるリストラ・過労や借金などにより、生きる望みを失った働き盛りのお父さんを自殺に追いやっているのだ。
 旧厚生省の調べによると、一昨年九九年の自殺者の数は三万三千四十八人で、二年続いての三万人突破という高水準の推移である。そのうち、四十代五十代の自殺者は約一万三千人で、これは全体のなかの約四割に相当する。
 あしなが育英会の推計調査によると、九八年に自死(自殺)で父を亡くした子供は、八千九百八十八人、母を亡くした子供は、二千七百九十一人で合計一万一千七百七十九人であったという。男性が圧倒的に多いのは、家庭の経済的基盤を支えているいわゆる大黒柱としての責任が果たせそうもないという勤務先での事情によることを証明しているのではないだろうか。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・中略・・・・・・・・・・・・・・・・・
今、団塊世代の多くの方々が取締役や部長であろう。経営の中枢にいる限り、おかしなことに対して見て見ぬ振りだけはやめよう。今、目の前に起きていることを謙虚に見つめ、真の自分に向き合って欲しいと願わずにはいられない。
 そこで、高度成長期を突っ走ってきた我々団塊の世代に、この本を通じて、「傍観者の塊」ではなく「闘う塊」となって一緒に闘おうというメッセージを送りたくなった。
しかし、最近気になることがある。それはマスメディアを通じて団塊世代の活躍のニュースが他の世代に比べて少ないように思う。あれだけの大きな塊の姿が見えないのである。異業種交流などに参加しても団塊世代の参加はは圧倒的に少ない。団塊世代はどこへ行ったのだろうか。群の中での安住が長かったため、自分で決める能力がいつのまにか退化したため、時の流れに身を任せているせいなのだろうか。
 タイトルに『団塊の逆襲』としたのは、次のような理由による。そろそろ、我々団塊世代も人生後半にさしかかり、先輩諸氏達と同等に地位、賃金などの面で恩恵にあずかろうと思ってきた矢先、今あまりにも理不尽のことが起きているあるいは起きようとしている。この悔しさは誰にぶつけるのか、そしてどのように闘っていくのかとの思いを込めて『団塊の逆襲』と付けた。多くの企業では、経営者責任を明確にしないままのリストラを初め、陰湿なイジメが横行している。そんなことに憤慨しつつ、一方、現実を冷静に素直に受け止め、それなら、こう生きてやろうではないか、というポジティブへの転換を図ろうという気持ちを込めて書こうと思った。他人に寄りかかり過ぎず、ちょっと勇気を出して、新たな取り組みにギアチェンジして進もうではないか。自分を変えようではないか。今まさに、団塊世代や中高年にとって自分を変える絶好の好機であるし、逆襲の好機である。この新たな波に乗ることができるかできないかで恐らく定年後(六十歳以降)のライフスタイルが大きく変わるのではないかと思っている。
 サムエル・ウルマンが言っている。「青春とは臆病さを退ける勇気、安きにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する」と。何かに感じたら素直に即行動を起こそうではないか。精神が老けないためには、知的好奇心を持ち続け、好きなこと楽しいことをできるだけやることである。
 ここでの逆襲の対象となる相手は、次の四者だ。それは、いまだ世界の真のリーダーシップに成り得ない日本の政府・政治家、無責任な経営をしてきた経営者および取締役、実績主義の名の下にとってつけたような部署への配置転換やリストラを断行している総務・人事、さらに、他力依存体質からなかなか変われない自己である。
 我々団塊世代は、かつて、新しい価値観や社会の仕組みを受け入れてきたが、自らの意思で、どれほど革新的なものを創造してきただろうか?あまり、胸張って威張れないのではないか。なんのかんのといって、終身雇用や年功序列制度を享受しながら、安穏にぬくぬくと今まで過ごしてきたのではないか。心のどこかに人とは違うと思いながら、実はあまり変わり映えしない単一のといってもいいような画一的な価値観を追い求めてきたのではないか。先輩達の行く道をやがて俺もいくと信じて仕事をしてきたのではないか。
 団塊世代にとってこれからの未来は決してバラ色ではない。むしろ数の多さから国の財政に及ぼす影響は大きく、社会保障の面でもその負担は増加する恐れすらある。
 年金だけでは食べていけないのである。経済的不安の恐ろしさから目を背けて、何にもしないで「なんとかなる」はもはや幻想だ。「何とかしようと思わないと何とかならない」或いは、「何とかしようと思えば何とかなる可能性はある」。まさに、自分を守るのは自分しかいない。
 お行儀が良くて、人の良い、調整型の仕事の進め方がうまい団塊から、多少クレイジーなやんちゃな団塊に変身しようではないか、この辺で自分に大いにカツを入れようではないか。二十一世紀を迎えた今、「団塊世代が変われば、世の中が変わる」との大風呂敷を広げ、七百六十万人の団塊世代に心の連帯を呼びかけたい。ひとりで悩むなと言いたい。一度きりの人生である。自分の人生は自分で決める、自分の人生は他人に支配されてなるものか、という気概でこれからの人生を送りたい。
 今の会社で残る人、新しい会社に転職する人、事業を起こす人、など進む道は違えども、今日の逆境をバネに熱き魂でもって新しい人生を切り拓いて行こうではないか。我々は「サイレント・マジョリティ」ではないはずだ。時代は我々の出番を待っていると信じて行こう。
 最後に、この本の出版にあたり、多くの方から励ましとアドバイスを戴いたことを心より感謝申し上げたい。(2001年10月22日)




CDタイトル『ベスト・オブ・ビリー・ヴォーン』
  発売元ユニバーサルミュージック株式会社 販売元ビクターエンタインメント株式会社
  規格番号UICY1541 定価1835円

 1950年代後半から活躍したインストルメンタルの大御所のビリー・ヴォーンの全曲集をご紹介します。

1.波路はるかに 2.真珠貝の歌 3.夕日に赤い帆 4.峠の幌馬車 5.ラウンチー 6.星空のブルース 7.星を求めて 8.白い渚のブルース 9.港の灯 10.ブルー・ハワイ 11.小さな花 12.砂に書いたラブレター 13.アマング・マイ・スーヴニール 14.夏の日の恋 15.トゥー・ヤング 16.シフティング・ウイスパリング・サンズ 17.スウィンギン・サファリ 18.マイ・ハピネス 19.愛さずにはいられない 20.思い出の夏 21.引き潮 22.今し別れの時  以上22曲

 最近、精神的にやや疲れ気味で気分が重いので、なんとかリラックスする音楽を聴きたいと思って、なにげなく新聞を見ていたら、ビリー・ヴォーンのジャケット写真を見つけた。ウン、これこれ。早速、今日買ってきて、今聴きながら書いています。
 私の特に気に入っている曲は「波路はるかに」だ。もう夏は終わったけど、砂浜でデッキに寝そべりながら視線を彼方にやれば、波間にヨットがゆらゆら見えてきそう。「星を求めて」ももちろんオススメ。

 しばし、ちょっと照明を暗くして、ウィスキーなどとともにいかが。(2001年10月15日)
 


タイトル:『万有縁力』〜ネットの向こうに人が見える〜
   プレジデント社刊、EC研究会/e本プロジェクト編著、1500円+税 2001年10月19日発行

ネットワーク社会はデジタル技術が欠かせないが、その実、生身の人との関わり合いの
重要性について焦点をあてている本で、起業家だけでなくサラリーマンにとっても、新しい
視点が見つかると思います。以下、その概要をご紹介します。
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宣伝コピー: 「いま、この人たちの情報発信が面白い!」 「“ひとりから始まる”ブロードバンド時代の情報発信革命」
「いま最も魅力ある情報発信者25人に直接取材した、情報発信実践ガイド」

本書の特徴:
本書は、(1)個人レベルで上手な情報の発信に成功(または挑戦)しているごく
身近な達人たちの事例をていねいに紹介すること、(2)大小様々なネット配信ビジ
ネスの分野での成功事例やその先端で活躍しているリーダーたちのダイナミックな動
きを活き活きと伝えること、(3)そうした事例の紹介を通して、まず読者の皆さん
の“たった一人から始められる”活発で上質で市民的な情報発信活動の進展=情報発
信革命の、お役に立つ事を最大の目標にしています。

同時にまた本書は、さまざまな情報発信分野で成功を収めつつあるたくさんの具体
的な事例の紹介や、その推進力になっているパイオニアの方々の創造性や開拓者魂な
ど、“ステキな刺激”に数多く触れていただく過程を通して、異業種含めた企業・団
体・機関レベルでの情報配信ビジネスへの参入や提携、あるいは社会人・学生レベル
での真剣な転職・就職活動など、そのスタートダッシュの第一歩となることを、大切
な目標としています。

目次〜登場人物(敬称略):
第1章=「日々のくらし」からの情報発信
糸井重里 小橋昭彦 とよみ 池内ひろ美 村山らむね 田口 元 枡野 浩一 林 雄司

第2章=「変革者たち」の情報発信
神田敏晶 佐野吾郎 中谷美佐 平川克美 久米信行 
マエストロ松井 堤 香苗 窪田俊之 蜷川真夫

第3章=「21世紀ビジネスモデル」としての情報発信
江幡哲也 田口 弘 宮井芳行 今井 衛 臼田琢美 
西川英彦 西沢繁彦 梅山貴彦

第4章=「情報発信革命の時代」を生き抜くための極意

第5章=情報発信を楽しむために(あとがきに代えて)


EC研究会(NPO)Eメール ecken@ceres.ocn.ne.jp
URL http://www.news.japan.com/ec/
(2001年10月6日)


タイトル:『絵本の力』

著者:河合隼雄 松居 直 柳田邦男  発行所:岩波書店 発行日:2001年6月18日 価格:1600円

この本は書店で、偶然に見つけた。タイトルの「絵本」という文字が目に飛び込んできた。以前からビジネスマンのための絵本があっても良いのではないかと思っていたからかも知れない。

さて、この本を読んでみて、あらためてビジネスマンのための絵本があって欲しいとの思いが強くなった。もっとも、この本はビジネスマンに読んで欲しいとの意図で出版されたのではないだろう。

まず、カバーの裏側に次のようなメッセージが載っている。

-----絵本を子どもだけのための書物としてではなく、大人にも深い影響を与えうる新しいメディアとしとらえる。絵本がどのように現代の人間の生き方と深くかかわっているかを考える講演と討論の記録。------

次に、著者の発言の中で、私の関心を呼んだものを紹介したい。

河合隼雄「絵本の世界というのは今後ますます発展すると思っているんです。それからつくる人も増えてくると思います。ほんとにいろんな人が自分の体験をもとにして絵本をつくったりして。」

松居 直「学校でも先生が物語を読んでやってほしいんです。教える教師と語る教師は意味がちがいます。」

柳田邦男「私は、現役のビジネスマンにしろ主婦層にしろ、あるいは人生後半に入った人たちにしろ、絵本が魂の肥やし、あるいは魂の糧になる大きな存在だと思っているんです。」「絵本は言語を超えた、あるいは国境を越えた、音楽に近いようなコミニュケーション手段なんだということに気がついた。」

 この絵本の中で紹介された「はるにれ」という写真だけの絵本を眺めていて思ったことは、「我々ビジネスマンにとって、百万弁の言葉よりも、たった一枚の絵が生きる力を与えてくれ、、想像力を育んでくれるということがあるのではないか」、ということである。まさしく「絵本の力」というものがあるような気がする。そして、ビジネスにおいて、「想像する」ということは大変大切なことではないかと思った。(2001年9月9日)

 

タイトル:『生きがいの社会学』〜高齢社会における幸福とは何か〜

著者:高橋勇悦・和田修一編 発行:弘文堂 発売日:平成13年3月15日 価格:税抜き1600円

この本の概要を以下の5つに整理してみた。

・1960年代後半から1970年代にかけて「生きがい論」ブームが起こった。
・「生きがい」という言葉は韓国を別にすれば日本固有のもの。
・生きがいの問題は「日本的問題」と言える。
・日本人の意識と行動は所属集団の価値=集団価値を先行させ、個人の価値はこれに従属してきた。それが、価値意識の視点が集団価値から個人価値へ移行している。欧米型への過渡期であるとも言える。そこで、生きがいと言う言葉がうまれてきた。
・生きがいの意識の二つの方向→集団への一体感と自己実現。

どうやら「生きがい」という言葉は曖昧性のある言葉らしい。私にとって「生きがい」とは、「自分の持ち味」といったものを生かして、家族や職場や社会に役に立つことであり、それらを通じて自分自身が楽しいなぁとか面白いとかを感じることかな。
いま、混沌とした時代を迎えて、「自立」と「生きがい」の関係性を強く意識するときかも知れない。
(2001年8月17日)



タイトル:『道元』 

     著者:松原泰道  発行:アートディズ  発売日:2000年10月25日

この本は平成11年禅文化賞を受賞された著者が禅の本質をわかりやすく語ったものです。禅そのものに興味がなくても、私達の生き方について多くの示唆を含んでおり、なかなか面白い本だと思いました。このなかに、「悉有仏性」(しつうぶつしょう)――ことごとく仏性を有す――という言葉が出てきます。著者の説明の一部を次に紹介しましょう。

・・・仏性は人間を本当の人間に目ざめさせるいのちです。このいのちをだれもが、いつでも自分の身に生まれながらに具えているのですが、煩悩にさえぎられて気づかないのです。そしてついに仏性を忘れてしまっているのが、私たち人間の実情です。・・・

この本を読んで数ヶ月後、私はこの仏性というものを見たような不思議な体験をしました。それは、私が通勤途上の踏切を渡ったときのことです。一つ手前の踏切で警報機が鳴っていたので、足早に踏切を渡ろうとしました。十分余裕のあるタイミングでした。しかし、私の後ろからおばあちゃんが自転車で渡ろうとしていたのが視野に入りました。私は間に合うけど、おばあちゃんの前で遮断機が降りるなと思っていたら、案の定降りてきたので私がとっさにその遮断機を手で支えておばあちゃんがくぐるのを助けました。

そのとき、おばあちゃんは私に「あぁすみません、ありがとうございます」と言いながらくぐりました。そして、ふたりとも完全にくぐり抜けて私が駅の方に歩き出そうとしたときです。また私に向かって、「ありがとうございました。私が急いで渡ろうとしたばっかりに、すみませんでした。本当にありがとうございました。」と頭を下げてお礼を言って、自転車に乗って立ち去ったのです。

私は、やはり昔気質の人は丁寧な挨拶をするものだと思いました。それと同時に、向こうへ去っていくおばあちゃんの背中を見ながら、「これがおばあちゃんの仏性なのではないか」と思ったのです。おばあちゃんが私に仏性というものを教えてくれたのです。私は、心の中でおばあちゃんに「こちらこそどうもありがとう」とつぶやいていました。その日はなんだかとてもいい気分でした。(2001年8月12日)


タイトル:『金持ち父さん 貧乏父さん』

著者:ロバート・キヨサキ シャロン・レクター

発行:筑摩書房  発売日:2000年11月15日価格:税抜き1600円

この本は今年ベストセラーとなったので、既に読まれた方が多いことでしょう。

この本の主張は、「ラットレース(いたちごっこ)」をやっている貧乏父さんよ、金持ち父さんになりたかったら、その習慣をやめて、「ファースト・トラック(高速車線)」へ移って、レースをやりなさいということでしょう。

つまり、会社や税金を払うためや銀行にローンを返すために、ただ黙々と働いていると、いつまで経っても、金持ちにはなれませんよ、もっとお金を活用して、増やすことに頭を使ったらいかがですかといっているのです。

読み始めたときは、「活用できるお金があれば、苦労しないよ。ないから、困っているんじゃないか」などと、貧乏人父さんである私は、少しむくれつつ読みました。しかし、ずうっと読んでいくうちに、どうやら、少ないお金ながらも、今よりはお金の使い方、つまり「生きたお金の使い方」の勉強をし、実践してみることが必要だとは感じました。

この本は、お金について語っているが、本質的には、人間の大本、つまり、個人の生き方、ライフスタイル、大げさに言えば、哲学について、自己洞察の機会を与えてくれているかもしれません。

以下、152ページより抜粋

-----現在、経済的な苦境に悩む人の中には、昔の考え方に固執しているというだけの理由でそうなっている人がおおぜいいる。このような人たちは、何もかも昔のままであって欲しいと望む。つまり、変化に抵抗するのだ。仕事や家を失いかけて、それを技術革新のせいや、不況、あるいは経営者のせいにしている人が私の知っている人の中に何人もいる。彼らの不幸は、自分自身が問題なのかもしれないと気づいていないことだ。古い考え方彼らにとって最大の「負債」だ。その理由は簡単だ。そういった考え方ややり方は昨日の「資産」で、昨日という日はすでに過ぎてしまっているからだ。-----
(2001年7月15日)

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